「イマジン」というと、このタイトルの有名な曲があるのをご存じでしょうか?ジョン・レノンの原作ですが、世界中で様々なミュージシャンが歌っています。国内で、一人あげるとするなら、やはり忌野清志郎でしょうか。彼はRCサクセションというバンドのボーカルです。私が高校生の時、ロック好きには人気がありました。彼らのアルバムに「カバーズ」というタイトルのものがあります。ところがこのカバースは発売直前に発売中止になりラジオでも放送禁止になりました。その理由は、シングル曲「ラブ・ミー・テンダー」と「サマー・タイム・ブルース」に原子力発電所に反対する歌詞があって、発売元である東芝EMIが、親会社の東芝から圧力をかけられたためでした。
そのことで私も友達もはじめて、東芝は原発も作っているのだと知りました。ちょっとだけ紹介しますと、ラブ・ミー・テンダーは原曲ではLove me tender, love me sweet, never let me go.となっているのですが、ここを「何言ってんだー ふざけんじゃねー 核などいらねー」としたのです。これがダメだったのでしょう。タブーを扱った人物としてメジャーな音楽業界から敬遠されたのです。でも清志郎はこれで終わらなかったんです。しばらくしてタイマーズというバンドがでてきます。彼らはいわゆる覆面バンドでした。全員が工事現場のヘルメットをかぶり、サングラスやタオルを顔に巻いて出てきました。決して素性は明かさないのですが、見る人が見れば誰かすぐに分かりました。1988年8月6日広島で開催された平和コンサートに彼らは飛び入りで演奏します。これが話題になってその年の学園祭にはあっちこっちに乱入し、若者が殺到しました。メジャーレーベルには受け入れられなくても、ファンは離れずに支持したんです。翌年に出したタイマーズのシングル「ディ・ドリーム・ビリーバー」は今ではコンビニ最大手のCMソングとして知らない人はいないと思います。
忌野清志郎という人、私は生き方がロックだなあと思います。音楽は自分達の思いを自由に表現していい。自らの生き方を通して、その事を貫いた人だと思います。カッコイイとはこういう人のことを言うんだと思う訳です。
そんな清志郎が、アルバム「カバーズ」で歌ったイマジン。こんな歌詞になっています。「天国はない ただ空があるだけ 国境もない ただ地球があるだけ みんながそう思えば簡単なこと 社会主義も 資本主義も 偉い人も 貧しい人も みんなが同じならば 簡単なこと 夢かもしれない でもその夢を見てるのは 君一人じゃない 仲間がいるのさ」
イマジンというキーワードは、実は旧約聖書の中にもあります。創世記1章27節「神は人を御自身の姿に似せておつくりになった。」という箇所は英語版ではimage of Godとあり、そこからのイマジンな訳です。
神は人をつくられた。男と女とを作られた。これは全ての人を指していると思います。今日で言えばここに性的少数者=セクシャルマイノリティーも含まれるでしょう。そういった全ての人を、自分のかたちに似せて創られた。男も女も年寄りも子どもも障害のある人も貧しい人も、みんな同じく神さまの姿をしている、それほどにかけがえのない存在だということになります。
そこで私たちは「障害のある人もない人も一人ひとりが大切にされる、共に生きる地域をつくろう」その様に願って、名前を地域共生拠点イマジンとしたのです。