基和戸/キーワード

私たちのコアバリュー②

「弱さの中に力はある」 利用者をお世話する存在として捉えるのでなく、支援者はこの方達とともに歩む存在としてあること

人は人とのつながりの中で生きる存在だといえます。重い障がいがあるメンバーさんの場合、とりわけこのことが重要になってきます。食事なら食事介助、お出かけする際は移動支援と、常に誰かのサポートが必要になってきます。そして一つのサポートが終われば、次の場面へと支援者がバトンタッチされていきます。一人の支援者が出来ることは限られていますので、例えどんな平凡な日であったとしても、必ず複数の職員が一人のメンバーさんの支援を引き継いで切れ目なくお付き合いさせていただいてます。
近年は私たちの事業所の職員だけでなく、他法人さんとも連携して一週間の支援者をつないでいくことも増えてきました。それはまるで「支援体制の輪」をつくっているようでもあります。

でもここで、ふと立ち止まって考えるのです。その輪をつくっているのは一体誰なのか。私たちはメンバーさんのために支援の輪をつくっているように見えるけれど、本当にそうでしょうか。
出会うはずのなかった他事業所の支援者とも協力し合えるのは、そこにメンバーさんご本人がおられるからではないか。輪の中心にはご本人がおられるのではないか。
そう考えると輪をつくっているのは私たちではなくて、実はメンバーさん自身なのだと。ご本人が中心におられて私たちがつながっているといった方が正しいのではないか。
重度障がい者と言われる方達には人と人をつなげていく、そんな力があるのだと思わされます。存在そのものがその力をもっているといえないでしょうか。この方たちは何も出来ない人たちじゃない。常に誰かのサポートはいるのだけれど、本当は支援者と支援者を、人と人をつなぐ働きをされている。
そうです、「弱さの中にこそ力はある」のだと。

「弱さの中に力はある」と、そのことに私たち自身が気がついていくとき、私たちの内面は一段と深められる気がします。
単なるお世話をする対象でなくて、私たちはこの方達とつながって生きている。そのことを自己の深いところで捉えられたとき、それは姿勢に立ち現れてきます。肩の力が抜けて自然と楽になったという職員もいます。私はまなざしが変わると思います。我々の法人ではこれを「自己深化」と呼んでいます。
福祉の世界や対人援助の分野で、こうした価値観で働いておられる方は他にも沢山いらっしゃいます。ソーシャルワークの根底にある価値観といってよいのかもしれません。時には利用者と支援者という関係を超えて、より内面の深いところで支え合って生きるという福祉の姿なのです。
他者の援助を必要としているこの方達が周りの支援者を受け入れていかれる姿や、それでも揺るがない芯の強さを見せられるとき、ひるがえって己はどうなのかと思い知るときがあります。人として最も大切な何かが、いまここにあると発見をするのです。
私たちは、そこから力をいただいて明日もまた頑張っていこうと、心が萎んでいるときもあたたかくなれる気がします。私たち職員は目の前のメンバーさんたちと、ともに歩んでいくそうした存在なのだと思います。